こんにちは。
フリーイラストレーターの熊谷ユカ(@kuma_yuka___)です。
今回は、「さよならの朝に約束の花をかざろう」(以下:さよ朝)という映画をご紹介します。
1年半ほど前に、ネット上で絶賛されているのを何度か見かけて気になり、DVDをレンタルして見た映画です。
当時は借りるかどうか迷っていたのですが、あのときの自分に言いたい…。
「さよ朝のDVDを借りてくれて、ほんとうにありがとう!!!」
正直、こんなに心を揺さぶられとは思ってもいませんでしたし、こんなに感動したのも久しぶりでした。
1年半前に感じたことを振り返りながら、記事を書きました。
よかったら読んでみてください!
映画情報
映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」の基本的な情報をのせておきます。
監督・脚本を担当する岡田麿里さんは、「あの日見た花の名前を僕はまだ知らない」や「心が叫びたがってるんだ。」などの脚本を手掛けたことでも有名ですね。
あらすじ
大まかに、こういう内容です。
(公式サイトから、あらすじをお借りしました。)
縦糸は流れ行く月日。横糸は人のなりわい。
人里離れた土地に住み、ヒビオルと呼ばれる布に日々の出来事を織り込みながら静かに暮らすイオルフの民。10代半ばで外見の成長が止まり数百年の寿命を持つ彼らは、“別れの一族”と呼ばれ、生ける伝説とされていた。
両親のいないイオルフの少女マキアは、仲間に囲まれた穏やかな日々を過ごしながらも、どこかで“ひとりぼっち”を感じていた。
そんな彼らの日々は、一瞬で崩れ去る。イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる古の獣に跨りメザーテ軍が攻め込んできたのだ。
絶望と混乱の中、イオルフ一番の美女レイリアはメザーテに連れさられ、マキアが密かに想いを寄せる少年クリムは行方不明に。
マキアはなんとか逃げ出したが、仲間も帰る場所も失ってしまう……。
虚ろな心で暗い森をさまようマキア。そこで呼び寄せられるように出会ったのは、親を亡くしたばかりの“ひとりぼっち”の赤ん坊だった。
少年へと成長していくエリアル。時が経っても少女のままのマキア。
同じ季節に、異なる時の流れ。変化する時代の中で、色合いを変えていく二人の絆――。
ひとりぼっちがひとりぼっちと出会い紡ぎ出される、かけがえのない時間の物語。
引用:映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』公式サイト
不老長寿の一族「イオルフ」の少女マキアと、マキアに育てられ成長していく「人間」の少年エリアル。
一言でいうと、
異なる種族に属する2人の「愛」の物語
です。
感想
「さよ朝のここが魅力だなあ…」と思ったポイントが、おもに3つあります。
1.映像・音楽の美しさ
とにかく映像と音楽が、美しいんですよ…。
全体的に、透明感があるんですよね。
映像でいうと、背景美術のクオリティが高い!
そして、金髪に白いドレス…まるで天使のような「イオルフ」のビジュアルが素敵。。
個人的に繊細なもの・美しいもの・透明感のあるものが好きなんですが、私と同じような趣向を持つ人なら、絶対に「うわあ…!」とワクワクしてしまう世界観です。
音楽は、サウンドトラックも主題歌も、どちらも素晴らしかったです。
サウンドトラックは、ハープやコーラス、ピアノがおもに使われているのかな?
映画の雰囲気にぴったりでした!
映画を見終わってからもしばらく作業中BGMとして聴いていました。
主題歌はrionos(リオノス)さんの「ウィアートル」という曲。
rionosさんの歌を聞いたのは初めてでしたが、心にグッとくる歌声ですね…。
透き通るようなハイトーンボイス。
どこかUruさんや手嶌葵さんに近い声質な気がします。
2.いくつのも「愛」
最初にポスターのメインビジュアルを見たとき、「恋人との別れ」をテーマにした話かと思っていたんですが、いい意味で裏切らました。
まさか、主人公が子どもを育てる映画だったとは…!
マキアとエリアルの間には、いくつもの「愛」が存在していたように思いました。
「親子」、「恋人」、「友達」、「兄弟」…。
どの言葉にも当てはまらないような様々な感情が、そこには確かに存在していたような気がします。
うーん…なんというか、単純に
「個人と個人」という、先ほど言った定型に当てはまらない広い愛で2人が結ばれている感じ
がしましたね。
そういう「愛」の描き方をしている作品を見たのは、個人的に初めてだったんですよ。
親子どうしの愛を描いた作品や、恋人どうしの恋を描いた作品って、かなりたくさんあるじゃないですか。
でも、さよ朝には、本当にいくつもの愛が詰まっている。
そして、それこそがさよ朝の魅力だと感じます。
3.懸命に生きるということ
さよ朝の登場人物は、自分の信念や気持ちに素直です。
みんなそれぞれの正義があって、そのために人生を生きています。
マキアの場合は最初、気が弱く自信がない印象の少女でしたが、エリアルを育てていくうちに少しずつ強くなり、生きる力を身につけていきました。
とにかく「エリアルのお母さん」になることだけに一生懸命情熱をそそいできたんですよね。
マキアにとっての信念は、一貫してエリアルを育てることでした。
ミド(マキアの面倒を見てくれた、農家のシングルマザー)も、2人の息子を育てることに一生懸命でした。
クリム(イオルフの一族。マキアの昔の片思いの相手)はレイリアが好きで、「イオルフ」という種族の伝統や誇りを大切にしていました。結果、あのような最期にはなってしまいましたが…。
何はともあれ、そんな登場人物たちの
「懸命に生きる」姿勢が美しい
と感じました。
さいごに
さよ朝を見終わってから、しばらく物語の余韻が続きました。
映画が終わって、マキアたちの物語が終わった後も、当たり前に私の日常は続いていく。
その事実が、とても悲しかったのです。
いつもなら、良い物語に触れた後は「よし、私も頑張ろう!」という気持ちになりますが、あまりにも心に響いた物語が終わった時は、しばらく喪失感が続きます。
「いつまでもその物語に浸っていたかった…」という、聞き分けのない子どもみたいな気持ちになります。
「この物語が私の心に深く響いて、あまりにも感情が揺り動かされてしまったから、現実世界に戻るのが本当に辛い。
こんなにきれいな世界を知ってしまった後で、つまらない現実に帰りたくない」
と切実に思ってしまったんです。
さよ朝の世界で生きていきたいくらい…、と。
そのくらい、私にとって「さよ朝」は素晴らしい作品でした。
素晴らしい物語には、人の心を動かす力があります。
素晴らしい物語には、私たちの人生を変えてしまう力があるのです。
さよ朝は間違いなく、そんな物語でした。
私はこの物語に出会えたこと、一生忘れません。
ぜひ、おすすめしたい作品のうちの一つです。
『さよならの朝に約束の花をかざろう』が好きな方なら、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』もきっと気に入るはず…。
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